先日インターネットで「チャンスのある未来を」という標語を掲げている日本の政治家を見かけましたが、chance とは「どちらにも転びかねる状態」であり、良い意味での「可能性」、「希望」という意味では有りません。つまり「チャンスのある未来」とは強いて言えば「良くなるかもしれないけど、悪くなるかもしれない未来」で、当然のことながらそのような未来を掲げる政治家に投票する人は誰もいないでしょう。
また chance は一部の慣用表現以外には具体的に何が起こり得るのか明示されているか、状況から明らかな場合にのみ使われ、単独・抽象的に「チャンスのある未来」のようには使われません。
- A chance to win $10,000 -> 一万ドルが当たるチャンス
- A chance that it will rain tomorrow -> 明日雨が降る可能性
- A chance that an asteroid will hit Earth -> 小惑星が地球に衝突する可能性
上記の政治家の標語は英語では以下のように表現されます。
- A future full of opportunities -> 機会に満ちた将来
- A future full of possibilities -> 可能性に満ちた将来
- For a brighter future -> 明るい未来のために
Possibility は良い事・悪い事のどちらの可能性にも使われますが、上記の例文のように単独で使われた場合は通常良い可能性を意味します。
「機会」の意味の chance も「可能性」の時と同じように、具体的に何の機会なのかが明らかにされます。「機会」の最も基本的な単語、特に抽象的な「機会」、は opportunity になります。
- In life you have to seize opportunities (
chances)when they come your way -> 人生では機会は訪れた時に掴まなくてはいけない