英語の発音の基本

日本語でも同じことですが、相手に理解されるためには単に個々の発音だけではなく、強勢と抑揚を正しくする必要があります。米国には当然沢山の移民がおり、訛りの有る人、例えば「th」や「r」の音が正しく発音できない人達が幾らでもいますが、強勢と抑揚が正しければそれらは殆ど問題になりません。特に米国に長く住んでいる外国人で、米国英語のリズムを完全に会得している人の言葉は、個々の発音に訛りがあっても理解されることには全く問題がないと言えます。逆に、例えばインド英語は強勢・抑揚が米語と全く違うために、米国人に殆ど理解されず、一時期米国企業が電話による通信販売や苦情相談を安価なインドに下請けした際、米国人客の大きな不評を買いました。

標準発音記号による個々の発音の説明はインターネット上のビデオ等で容易に見つけることが出来るのでここでは詳述しませんが、特に日本人向けに英語らしく聞こえる、また英語人に正しく理解してもらえるためのコツを幾つか示します。

まず、日本語と英語の音の決定的な違いは以下の点で、これを無視すると通じる度合いが大きく下がってしまいます。

日本語:

  • 全ての音節が同じ長さ
  • 個々の発音は強勢の有無に影響されない
  • 強勢の有る音節と強勢の無い音節の強弱の差が小さい

英語:

  • 強勢の有る音節の母音は伸ばされ、強勢の無い音節は母音は短い
  • 強勢の有る音節ははっきり発音され、強勢の無い音節は曖昧に発音される
  • 強勢の有る音節と強勢の無い音節の強弱の差が大きい
  • 強勢の有る時しか使われない音と、強勢の無い時にしか使われない音が有る

「マクドナルド」ではなく「マクダーノルドゥ」、「チョコレート」ではなく「チャーコリト」、「ヒップホップ」ではなく「パップ」、「アイドントアンダスタンド」ではなく「アイドーントゥアンダステェァーンドゥ」です。一方英語人は「ホンダ」「スズキ」「マツダ」「スバル」をどうしても「ホーンダ」「スズーキ」「マーズダ」「スーバル」と発音してしまいます。

更に日本語では母音は強勢の有無に関わらず同じ音ですが、英語では強勢の無い母音はアイウエオ全ての中間の「曖昧母音」になります。この強勢の無い曖昧母音を日本語の「アイウエオ」ではっきり発音してしまうと英語人に理解されにくくなります。

また日本語では子音は常に母音と組み合わされていますが、英語では子音が単独で使われます。特に強勢の無い子音はごく軽くしか発音されません。Fightは日本人が言うように「ファイ・トー!」と二つの音節に分割することも、語尾を伸ばすことも不可能で、常に「ファイト」の単音節になります。最後のTは舌先から軽く息が漏れるT、ごくごく軽い音で伸ばすことも出来ません。

これらの原則は英語の全ての音に適用されるので、これを会得するか否かが英語らしく聞こえるか、英語人に理解されやすくなるかの決定的な鍵になります。